楽観論をいくつかあげておきます。一つは、元航空自衛隊幹部の数多久遠氏の説、もう一つCIA長官の説明。どちらも緊迫した状況ではないというものです。
結局、双方メンツが立ち、戦争が起きない形でグアムへのミサイル発射は行われるというのが、その楽観論です。
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グアムには領海には着弾しない形でミサイルが発射される
THE PAGEの元航空自衛隊幹部の数多久遠氏の説によると、
北朝鮮の国営朝鮮中央通信は、軍高官の談話として「朝鮮人民軍が発射する火星12ロケットは、日本の島根、広島、高知各県の上空を飛び、3356.7キロを1065秒飛翔した後、グアムから30~40キロ離れた海面に着弾する」と報じています。
「グアムから30~40キロ離れた海面」。この言葉は、領土はもちろん、領土と同じ主権の及ぶ領海(基線から12マイル(約20キロ))には落とさないという意味になります。
この通りに行けば米国は反撃はしないということになりますね。万一事故が起きても、自爆させるなどの処置をすれば問題ないが、そのために事前に通告しているということでした。
また、次のようにもし攻撃をするには攻撃準備が入念に行われなければならないとして、そういう準備は行われていないということでした。
もし北朝鮮に対する攻撃を実行するならば、湾岸戦争やイラク戦争と同様に、地上戦力を含めた攻撃準備を入念に行い、北朝鮮が反撃を行いたくとも、反撃が不可能となる徹底した攻撃を行う必要があります。
空爆しか行わないのであれば、既に多数のミサイルを持ち、核の搭載は不透明とは言え、化学兵器や生物兵器も大量に保有するとみられる北朝鮮が反撃に出た場合れば、大きな被害が発生することは避けられません。
あるとすれば斬首戦術だけども、場所を特定することが難しいことなどから、なかなか実施できないのではないかということでした。
中国は南シナ海の問題に対抗するのに北朝鮮は必要なカード
中国にとって、北朝鮮は南シナ海の問題で米国に対抗するための必要なカードであるとしています。北朝鮮があるが故に南シナ海の問題を有利にすることが出来ているというわけですね。
特に中国は、南シナ海の問題で、アメリカと対決姿勢を強めています。単に仲が悪いということではなく、南シナ海での交渉カードとして、北朝鮮に対する影響力を持ち続けることが、中国にとって強いカードとなるのです。
北朝鮮が崩壊してしまえば、そのカードがなくなります。中国は、そうなれば南シナ海の問題で、アメリカがより強い態度で出てくると予想しているでしょう。中国にとっても、北朝鮮は既に喜ばしい隣国ではありませんが、南シナ海の問題を有利にするためには、北朝鮮が存在し続けることが望ましいのです。
特に、北朝鮮への経済制裁が実効性を発揮するか否かが、北朝鮮と長大な国境を有し、北朝鮮の最大貿易相手国である中国の胸先三寸と言える状況では、南シナ海の問題に対して、北朝鮮カードが非常に強力です。アメリカが南シナ海を問題視すれば、北朝鮮への経済制裁破りを暗に匂わせれば良いのです。
結果的にトランプ大統領は、いかに威勢の良いことを言ったとしても、現状では軍事的オプションは取り得ません。
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北朝鮮との核戦争差し迫っていない
ポンペオ長官は8月13日、「FOXニュース・サンデー」とのインタビューで、「われわれが核戦争の間際にあるということを話す人たちがいる」とした上で、「自分たちが現在そうした状況にあることを示す情報はない」と発言。最近の大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射試験や、北朝鮮の核兵器製造能力の改善を監視している米国の情報分析担当者は、北朝鮮の短期的な意図を「十分把握」していると説明した。
マクマスター氏はABCの番組「ジズ・ウィーク」で、「われわれは1週間前と比べて、戦争に近づいたということはない。ただ10年前よりは戦争に近づいている」と語った。
出典:Bloomberg
としていて、楽観視したコメントを出しています。今すぐ核戦争ということは杞憂にすぎないという意図のようです。
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